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旅の余白 | アムステルダム

  • Sakura Nimura
  • 1月31日
  • 読了時間: 5分

更新日:17 時間前



何度か空港は経由したことがあったものの、実際に街を歩くのは今回が初めてだったアムステルダム。


到着した日は、深い霧に包まれた冷たい1月の空。寒さもあって外へ出る気力も湧かず、初日はホテルの部屋で静かに過ごすことにしました。仕事を少し進めたり、ゆっくりと身体を休めたり。遠くまで来たのに…という気持ちもどこかにはありましたが、結果的にはこの“セルフケアの日”が後の旅に良い影響をもたらしてくれたように思います。無理しない勇気、も旅には必要だなと感じます。


今回の滞在では、アムステルダム市内でふたつのホテルに宿泊しました。最初はセントラルステーション近くの DoubleTree by Hilton。その後、ゴッホ美術館にも近いブティックホテル Jan Luyken Amsterdam に移動しました。


最初のDoubleTreeは、アメリカ本国では正直そこまで期待値の高いホテルチェーンではありません。でも、アムステルダムのこのホテルは、以前泊まったことのある知人から「コストパフォーマンスが良いよ」とおすすめされて予約したもの。実際に泊まってみると、その言葉通り、予想以上に良かったのです。


部屋は洗練されたデザインで居心地がよく、館内にあるレストラン We are EDN もクオリティが高くて驚きました。初日は外に出る元気がなく、ルームサービスを利用したのですが、それだけでも十分に満足のいくお食事でした。とくに、ウォーターフロント側のお部屋だと、道ゆく人や船などアムステルダムらしい風景を見ることができます。


また、ホテルの隣には LOT61 という人気のコーヒーショップがあります。レセプションの方が「ここはぜひ行ってみて!」と強くおすすめしてくれたので、私も立ち寄ってみることに。コーヒーは飲まない私ですが、翌週に会う予定だったコペンハーゲン在住の友人へのお土産に、こちらのコーヒー豆を購入しました。


ちなみにその友人、なんと自宅に 8000ドルもするエスプレッソマシン を設置しているほどのコーヒー通。そんな彼が「ここ知ってるよ!」と反応してくれたことから、LOT61の豆は確かな品質のようです。



霧のアムステルダム。初日はこんな感じでした。
霧のアムステルダム。初日はこんな感じでした。



2日目以降は、深い霧もようやく晴れ、ほんの少しのあいだですが太陽が顔をのぞかせる時間もありました。

束の間の光に、心までふっと明るくなるような気がします。


それにしても、アムステルダムの人たちは本当に英語が上手。どこへ行っても言葉に困ることがなく、安心してコミュニケーションが取れるのはありがたいポイントです。


治安も比較的よく、フランスやスペインのように常に気を張る必要がないのも、旅人にとっては嬉しいところ。そんなおかげで、どこか肩の力を抜いて、ゆったりと街を楽しめました。





そして、アムステルダムといえば、やはり外せないのが ゴッホ美術館。


これまでも各地の美術館でゴッホの作品には何度も触れてきましたが、これほどまとまったコレクションを一度に鑑賞するのは初めてのこと。オーディオガイドを聞きながら、ゆっくりとひとつひとつの作品と向き合う時間は、まるで静かな対話のようでもありました。


やはり、ゴッホの色彩の使い方、色の組み合わせは圧巻で、改めて「偉大な画家だったんだなあ」と感動せずにはいられません。


中でも、特に心を奪われたのが「アーモンドの木の枝」という作品でした。


この絵は、弟テオが生まれたばかりの息子に「ビンセント」と名付けたことを手紙でゴッホに伝えた際、その知らせに深く感動したゴッホが、わずか3週間ほどで描き上げたお祝いの絵だそうです。ゴッホと弟の間には、深い信頼と愛情があったことがよく知られていますが、その絆が色彩の一つ一つにまで感じられるような、やさしくあたたかな作品でした。


有名な自画像なども展示されていて、見応えたっぷりのコレクションでしたが、私にとっては「アーモンドの木の枝」が心に最も深く残りました。希望や愛を感じさせる絵で、ずっと見ていたくなるような一枚。


有名な「夜のカフェテラス」は、ここアムステルダムではなく郊外にある クレラー=ミュラー美術館 に所蔵されているそう。次回の旅の目的地として、そちらもぜひ訪れてみたいと思いました。









滞在の後半に泊まったのは、美術館が集まる落ち着いたエリアにある Jan Luyken Amsterdam。おしゃれな通りに佇むブティックホテルで、最初のホテルとはまた全く違った雰囲気です。


大きなホテルチェーンの機能性とは対照的に、こちらはまるで誰かの家に招かれたかのような、あたたかくアットホームな空気感。スタッフの距離感もほどよく、宿泊者がまるで「我が家のように」過ごせるよう工夫されているのが感じられます。


旅先でこうした雰囲気のホテルに出会えると、ただ観光するだけでは得られない、その土地の呼吸のようなものを肌で感じることができますよね。



***


冬のアムステルダムも魅力的でしたが、違う季節に訪れたらまた全く違う美しさに出会えるのだろうと感じました。運河沿いの街並みや、柔らかな光に包まれた静かな風景は、季節を変えることでまったく違った表情を見せてくれそうです。


滞在中には、現地に暮らしている元同僚とも久しぶりに再会し、懐かしい思い出話に花が咲きました。この街の国際性の高さや暮らしやすさについてもいろいろと話を聞くことができて、「またきっと戻ってきたいな」と思える滞在になりました。







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