整えるリチュアル | ヒュッゲと冬のごきげんメンテナンス
- Sakura Nimura
- 2月8日
- 読了時間: 3分
更新日:5月1日

一年の半分近くが冬の雰囲気になるこの地域。
どうしたら心地よく過ごせるだろう?と、よく考えるようになりました。
空がどんよりとしたグレーの日が続くと、知らず知らずのうちに気分も沈みがちになります。ビタミンDなどのサプリメントを摂ったり、室内でも意識的に身体を動かしたりと、身体のケアはもちろん大事。
でも、それと同じくらい、心の状態を整える“気分転換”も重要です。冬が長い場所に住むということは、自分の内側の変化に敏感になり、自分の状態を観察する力を育てる絶好の機会だと感じています。
心のケアに関わる仕事をしていると、冬は新規の相談が増えます。とくに新年という節目になると尚更です。何かを変えたいという気持ちを後押しすることもありますし、気候も影響して自然と意識が内側に向かいやすくなるからでしょう。
以前にデンマークを訪れたとき、「ヒュッゲ」という価値観に感銘を受けたことがありました。ヒュッゲとは、ご存知の方も多いかと思いますが、デンマークの文化の中で大切にされている「居心地のいい空間」「幸せな時間」という価値観です。
当時は「素敵なライフスタイルだな」と感心していた程度でしたが、最近ではその本当の価値が、ようやく腑に落ちてきた気がします。
家の中をできるだけ心地よい空間に整えて、ぬくぬくとした気持ちで過ごす工夫の大切さ。身を置く環境が、自分の心身の健康に大きな影響を与えていることに、あらためて気付かされたのです。
デンマーク人の友人によると、ヒュッゲの本質は「日常に小さなよろこびを散りばめること」だといいます。部屋の心地よさもそうですが、友人や家族とのフィカの時間や、仕事から離れてまったりくつろぐ時間もそれにあたります。何か特別なことをするのではなく、すでにあるものを愛でたり、ちょっとした工夫を加えることで心を潤す。その意識にヒュッゲの真髄があるのだそうです。北欧人の幸福度が高いのは、一人一人がそういったことを意識しながら暮らしているからなのでしょう。
ヒュッゲのエッセンスを暮らしに取り入れるうえで、私が個人的に力を気をつけているのが“灯りの使い方”です。ピンポイントで優しく照らす照明は、空間だけでなく心にもやさしく灯をともしてくれるように感じます。ベッドサイドの柔らかい光のランプ、本棚に忍ばせた小さなライト、テーブルに置いたキャンドルなどの、小さくても存在感のある柔らかい灯りが、日々の暮らしを静かに温めてくれます。
また、特別な日だけでなく「日常の中でこそ灯りを使う」ことも大事にしています。たとえば、薄暗い日の午後にはキャンドルを灯して仕事をしたりなど。ちょっとおしゃれなキャンドルを、平日のディナーテーブルのデコレーションに使ったりなどすることもあります。
ただのいつもの日を、少しだけ良い時間にアップグレードするような、そんな小さな工夫。
気分の落ち込みを防いでくれるのは、そんな小さな贅沢と自分への心遣いです。
派手ではないけれど、しっとりと潤いのある時間。
自分の“ごきげん”を自分でとる、日常の中の小さな習慣。
火の始末には気をつけながら、そんか気持ちで今日もキャンドルを灯して作業しています。
巣篭もりの時期に、あなたはどんな時にヒュッゲを感じていますか?
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